立華だより 2025年3月
春が来た
「三月菱餅あられの中に、ちょびっとちょびっと春が来た」。幼稚園の立腰タイムで子ども達と唱えている「ちょびっとちょびっと春が来た」の詩の一部です。サトウハチローさんという詩人が書いています。「うれしいひなまつり」「ちいさいかくれんぼ」などは知っている方も多いのではないでしょうか。子ども達はこの言葉のリズムが大好きで、すぐに覚えて唱えています。声に出す面白さ、みんなで合わせる楽しさを感じながら、覚えた言葉からイメージを膨らませ、春の陽を感じたときにその言葉を繋がって、ふと呟いてみる。そんな感性が子ども達の中に育っているのを見ると、嬉しくてつい「春、来てた?」と声をかけたくなります。
さて、暖かい日差しと共に3月になりました。毎年この時期は卒園と進級、新入の準備で先生達も大忙しです。逆に子ども達は、一年の間にぐんぐんと成長し、心も身体も逞しくなったことを喜んでいるかのように毎日の生活の中でイキイキと過ごしている姿が見られます。ひよこさんは身体機能がどんどん発達し、大好きな「あの体操の音楽を流して?」と身体を使って自己主張しています。りすさんは友達との関わりが随分と増えてきました。玩具の取り合いもあるけれど、気づくと仲良くくっついている場面がよくあります。こあらさんはごっこ遊びやブロック遊びの工夫が見ていてとても面白く、こんな風に発展させるんだなぁと感心します。ちゅうりっぷさんは自分のことが少しずつ出来るようになり、すみれさんは堂々と自分の思いを表現出来るようになりました。さくらさんは困っている友達に優しく声をかけ、友達の話を聞いて先生に頼らずに自分達で「どうしようか」と考える力も育っています。出来ることは「見て!」と自信たっぷりに、出来ないことも「一緒に数えて?」とチャレンジしようとする姿は、とても頼もしく感じます。これから小学校へ行くという楽しみと不安と少しの寂しさを心の中に感じながら、今一緒にいる大好きな友達と関わる時間をとても楽しんでいることを感じます。
「このままずっといられたらいいのに」という思いと、「時が来たら一歩踏み出さなくてはならない」という現実、その間で揺れ動く心を子どもも大人も感じながら、節目の季節を迎えます。新しい環境に進むことは、楽しみも不安もあります。子ども達はそんな気持ちを上手く言葉に出来ずにぐずったり、逆に興奮したりすることもあるでしょう。でも、思い出してください。歩き始めた子どもが一番の安全基地にしていたのは、これまでも、どんなときも、お母さんやお父さんの存在。子ども達は大好きなおうちの人から愛情を感じることで、安心して自分の世界を広げていくことが出来ます。子ども達がいくつになっても、保護者の皆様が子どもにとって甘えられる安全基地でいていただけたらいいいなぁと思います。園の存在も、子ども達にとってそうでありますように。今年度もありがとうございました。